めぐみは小学校から帰ると、夜になるのを待っていました。

もうすぐ7時半ね。
そろそろチーム内での練習試合が始まる時間だわ。
バスケガール、メタモルフォーゼ。
イラスト by ネコユ様
めぐみはバスケット仮面に変身し、体育館へと向かいます。
その日は、最強チーム VS 最弱チームという、100%結果が見えている対戦でした。
そして、試合が始まろうとした瞬間、バスケットゴールの上に一人の少女が姿を現します。
イラスト by ねもこ様

誰だ!
お前は?

私はバスケット仮面。

バスケット仮面だと?
一体、何の用だ!

私も試合に参加したいの。

それは無理だ。

なぜ?

ここは部外者は立ち入り禁止だ。

私だって、あなた達と同じバスケットボールプレイヤーよ。
このユニフォームを見れば分かるでしょ?

あのユニフォームは、私達と同じ
スパーク・エンジェルスのユニフォーム!

でも、今日の練習にはメンバー全員が参加しているわ。
ここのメンバーが成り済ましているなんて有り得ない。

それに、背番号は、4番からしか無いはずなのに、1番なんて……。

う~む……。
よく分からんが、とりあえず話を付けよう。
バスケット仮面とやら、ここへ降りて来い!
バスケット仮面は、バスケットゴールの上からジャンプすると、
空中で前方に1回転して、コーチの前に着地します。

おおお!
すごい跳躍力だわ。

なんという身軽な動き!
体操選手みた~い。

よく分からないけど、只者では無さそう……。
みんなが唖然とする中、コーチは冷静に対処します。

それにしても奇妙な格好だな。
マスクを取って顔を見せろ!

それは出来ないわ。
私には正体がバレてはいけない理由があるの。
マスクを着けていてもバスケをするのには支障は無いでしょ?

それはそうだが、どこの馬の骨とも分からん者を、
ここのクラブ生達と一緒に試合をさせる訳にはいかん。

じゃ、私の技を見てもらおうかしら。
バスケット仮面は、
プロのバスケットボールプレイヤー並みの華麗なボールさばきを披露します。

これが小学生の動きか!
神レベルだ!

どう?
驚いたでしょ。

すごーいっ!

天才バスケ少女だわ。

バスケット仮面、カッコイーッ!
クラブ生達からも歓声が湧き起こります。
素性は分からないとしても、クラブ生への危険は無いとコーチは判断。

いいだろう。
特別に試合への参加が認められます。

では、君には最弱チームの方に入ってもらう。
最強チーム相手に、どこまでやれるか見せてもらうぞ。

ええ、いいわ。
試合が始まります。
バスケット仮面は、最強チームからボールを奪うと、
華麗なドリブルで最強チームの守りをかわし、レイアップシュート。
見事ゴールを決めます。
それだけではありません。
驚異的なジャンプ力を活かして空中でボールをキャッチすると、
宙に浮いた難しい体勢からシュート。
これも見事に決まります。
他にも、3ポイントシュート(ミニバスケにはありませんが……)
といったロングシュートもバンバン決めます。
バスケット仮面のワンマンプレイで試合は進んで行き、
遂には最弱チームが最強チームに勝利するのでした。

な、なんという事だ!
し、信じられん。
き、君は一体……。
すると、バスケット仮面は、2階のギャラリーまで大ジャンプ。

今日は、とってもバスケを楽しませてもらったわ。
じゃあ、またね。
窓から飛び出し、夜空の彼方へと消えて行くのでした。