
バスケット仮面の正体を今日こそ暴いてやるわ。

でも、どうするの?

普段のロングヘアーが、どんなのか見てみたいわ。
あのリボンを解くのよ。
いいわね、由依。

分かった。
いつものように、チーム内での試合が始まると、
バスケット仮面に味方からボールがパスされます。
しかし、ボールが少し高い位置に投げられてしまった為、
バスケット仮面は、両手を上げ、背伸びをしてボールをキャッチしようとします。
そして、常にバスケット仮面の背後にいた由依は、
そのボールを後ろから奪うようにして、
バスケット仮面の蝶結びになったリボンの先っぽをつかみ、引っ張ります。
すると、リボンが解け、バスケット仮面の髪は、
ポニーテールからロングのストレートヘアーに・・・。

ああっ!
リボンが・・・。
イラスト by りるくてぃ様
リボンが解けた事を気にするバスケット仮面。
しかし、すぐに正気に戻ると、

あなた、わざと私のリボンを解いたでしょ。

違うわ。
ボールを両手でキャッチした時に、
あなたのリボンの先っぽが私の手とボールの間に挟まったのよ。

嘘!
そんな事あり得ないわ。
私のリボンに手を掛けるなんて反則よ。
すると、2人の争いを止める為、コーチが間に割って入り、
リボンを解いた由依には口頭注意、バスケット仮面にはリボンを結び直すよう指示します。
そして、試合が終わった後、更衣室で・・・。

ロングのストレートヘアーになったバスケット仮面って、
髪の長さといい、後ろ姿といい、めぐみちゃんに似てなかった?

そう言えば、そうね。
めぐみちゃんにそっくりだったわ。

でも、めぐみちゃんがバスケット仮面なんて論外(笑)。

だとしたら、めぐみちゃんに似ている人物ね。

めぐみちゃんに、よく似ていると言えば、真由美ちゃんかな?
でも、あの子もスポーツは、そんなに得意じゃないよ。

やはり、バスケット仮面のマスクを剥がすしか手は無いのかな?

待って!
実はリボンを解いた時に髪も一緒に引っ張って、
バスケット仮面の髪を1本持っているの。
これをDNA鑑定にかければ正体が分かるかも・・・。

やるじゃない!
さすが私の妹。

でも、DNA鑑定って高いんでしょ?

そういえば、小百合ちゃんのパパの知り合いに
DNA鑑定の仕事をしている人がいるって聞いた事があるわ。

ヤッター!
これでバスケット仮面も終わりね。
次の日・・・。

毛髪からの人物の特定には何十万といった費用がかかるんだ。
いくら知り合いとはいえ、そんなに安くはならんぞ。

お願い、パパ。
バスケット仮面の正体を暴く絶好のチャンスなの。

そんな事をするよりも、もっと努力して、
その子に勝てばいいじゃないか。

そうじゃないの。
とても小学生とは思えない能力を持っているの。
何か魔法使いにでも能力を授かったとしか思えないの。

ハッハッハッ、何を言っているんだ。
きっと中学生が化けているのさ。

だとしても、卑怯じゃない。
そんな手を使って、この健全なるミニバスケ界に入って来るなんて。
断じて許す事は出来ないわ。

そんなに、その子の正体が知りたいんだったら、
力ずくで正体を暴くんだな。
DNA鑑定は高すぎる。
パパの給料じゃ無理だな。

え~ん(泣)。
次の日、学校の教室で・・・。

そっかぁ~。
知り合いだったら、いけると思ったんだけどな~。

私達の考えが甘過ぎたみたいね(T_T)。
その話を、めぐみは廊下で聞いていました。

小百合ちゃんのパパが、お金持ちだったら
正体を見破られていたかもしれないなんて・・・。
それにしても、私の髪まで使って正体を暴こうなんて、
なんて執拗なの。